私たちは何に心を打たれたのか

5・6年生の表現のタイトルは「WE ARE ONE ~思いをつないで~ 」でした。
タイトルに「思いをつないで」とありますが、
子どもたちが、この表現に込めた「思い」とは、一体何だったのでしょうか。

表現は、表に現すと書きます。
自分の伝えたいものに形があるのならば、ポケットから出して、手のひらに乗せ「ほら、これだよ」と見せればいい。
しかし、それができないから、演技を通してそれを見る者に伝えます。
振り付けを借りて、リズムを借りて、形のないものを表現します。

子どもたちが表現しようとしていたものは、何だったのでしょうか。

台詞があるわけでも、ナレーションがあるわけでもなく、込めた「思い」が言葉にされることはありませんでした。

ただ、それでも私たちは、子どもたちの演技から、確かに何かを感じ、心を打たれました。

子どもたちの眼差しに
フラッグが風を切る音に
土と石灰で汚れた後ろ姿に心を打たれました。

「こんなに白くなってしまって」と払ってあげたい気持ちになりましたが、ひたむきに演技する横顔が
「私たちには、そんなことより大切なものがあるんだ」と、そう言っているように感じました。

フィナーレは、二列横隊でした。

指導する側としては、最後の場面ともなれば、つい何か形を作りたくなってしまうものです。
隊形を工夫し、子どもたちの姿を山に見立て、花に見立て、飾りたくなってしまう。
しかし、担任はそうしなかった。
ただまっすぐに立つ子どもたちの姿を見せた。

最後の最後に、飾らぬ子どもたち自身を見せた。
それを選んだ担任の思いを想像し、胸が詰まりました。

私たちは、子どもたちの「思い」を受け止めることができたのでしょうか。